掲載日: 2022年10月7日更新
前回(令和4年2月号掲載)、和算家佐久間庸軒(さくまようけん)のお話をしましたので、今回は和算に関連する算額をみていきます。
算額は、広い意味では絵馬の一種で、江戸時代、和算において問題が解けたことを神仏に感謝し、さらに勉学に励むことを祈って奉納されたと言われています。
やがて、人びとの集まる神社仏閣を問題の発表の場として、難問や問題だけを書いて解答を付けずに奉納するものが現れ、それを見て解答や想定される問題を再び算額にして奉納することも行われました。奉納された算額には1題の問題が書かれていることもありますが、複数の問題が書かれているものが多数あります。
1997年の調査によれば、全国には975面の算額が現存しており、そのうち最も多く存在しているのが、福島県の103面、次いで岩手県93面、埼玉県91面と続き、関東から東北にかけて多く存在しています。
また、算額の中で最も古いものは、1683(天和3)年に栃木県佐野市の星宮(ほしみや)神社に奉納されたものです。
田村市では、市内に存在する算額のうち10面を有形民俗文化財に指定しています。
そのうち、江戸時代に奉納されたものは、船引町門鹿の王子(おうじ)神社と大越町牧野の見渡(みわたり)神社の2面で、他は明治時代に奉納されたものです。
門鹿王子神社と1900(明治33)年に奉納された船引町芦沢不動院の算額を除く8面の算額は庸軒の門下生による奉納です。庸軒が奉納した算額は田村市内にはありませんが、船引町新舘の八幡(はちまん)神社に奉納された算額の序文は庸軒の自筆によるものです。
日本で一番大きい算額は、さいたま市の氷川(ひかわ)神社に奉納された縦150㎝、横590㎝のもので、船引町文珠にある安倍文殊菩薩堂に奉納された算額は縦91㎝、横540㎝とわずかに小さいものの、氷川神社のものは1898(明治31)年に奉納されたものを1972(昭和47)年に復元したものであるため、本来奉納された算額の中では安倍文殊菩薩堂のものが日本一の大きさといっても問題ないでしょう。
※動画の1:59頃から算額の説明が見られます。
算額に書かれている問題は、和算では解くことができますが、現代数学で解けないものも中にはあるといわれています。
明石神社の算額と、記載内容・現代的解法
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