掲載日: 2023年3月1日更新
地下からこんこんと湧き出てくる湧水(ゆうすい)(清水)。いにしえより人々を潤し、人々は水神様をまつるなどして大切に保全してきました。しかし、近代になり水道が普及し、その利用が減るとともに、貴重な水資源という認識が薄まりつつあります。
市内に残る「〇〇清水」と呼ばれる湧水は、私たちにとって貴重な財産であり、後世のために保護・保全しなければならいないものとして、今回そのいくつかを紹介します。
六郷清水(ろくごうしみず)
滝根町広瀬字諏訪地内に所在する諏訪神社。その鳥居脇の大アカギ(樹齢約400年)の根元に、清水が湧いています。坂上田村麻呂が渇きをいやし、小野篁(おののたかむら・平安時代の官人)が六郷清水と名付けたという言い伝えがあります。なお、「諏訪神社のあかぎと六郷清水」は市の天然記念物に指定されています。
大日清水(だいにちしみず)
大越町上大越字大日前地内に所在する大日堂。その近くに清水が湧いています。昔、清水の傍らに病をいやす大日如来を安置したことにその名は由来します。なお、大日堂には市指定有形民俗文化財の「獅子舞の図」が奉納されています。
源平清水(げんぺいしみず)
国道288号を入り、行司ヶ滝へ向かう都路町古道字小滝沢地内の道路沿いに清水が湧いています。昔、相馬藩の殿さまが水のおいしさを褒め、その名を付けたという言い伝えがあります。
十九夜清水(じゅうきゅうやしみず)
常葉町堀田字赤坂地内の道路沿いに清水が湧いています。そばに十九夜様が建立されていることにその名は由来します。弘法大師(空海)が飲んだという言い伝えや、天明の飢饉(ききん)の時、大蛇が清水の傍らにある大岩をかじったという言い伝えから地元ではそのあたりを蛇場と呼んでいます。なお、清水から西400メートルの日鷲神社境内に市指定天然記念物「男スギ」が所在します。
文珠(殊)五水(もんじゅごすい)
船引町文珠字上地内に所在する清凉寺。その近くに文珠五水と呼ばれる清水のひとつが湧いています。昔から参拝者のためのお清めの水として使われています。
※今回紹介した清水は自然環境の中で湧いており、水質が管理されているものではないため、飲用については保証されているものではありません。
所在 六郷清水(田村市滝根町広瀬字諏訪地内 諏訪神社)、大日清水(田村市大越町上大越字大日前地内 大日堂)、源平清水(田村市都路町古道字小滝沢地内)、十九夜清水(田村市常葉町堀田字赤坂地内)、文珠(殊)五水(田村市船引町文珠字上地内 清凉寺)
見学 奉納されている文化財については要問合せ。
文化財 諏訪神社のあかぎと六郷清水、絵馬「獅子舞の図」、日鷲神社の男スギ(全て市指定)
※田村市老人の家寿楽荘そばに標柱があります。
(たむら市政だより令和5年3月号より。内容は当時のもの。)