今回、公表された「あぶくま洞3D-GIS」は、日本で初めて3D-GIS(3次元地理情報システム)を利用して作成された洞穴立体図です。測量データの提供はNPO法人洞穴探検協会が行い、3D-GISの作成は三井金属資源開発株式会社が行いました。
この「あぶくま洞3D-GIS」は、あぶくま洞の洞穴測量図からデジタルマップ用データを起こして作成されたあぶくま洞立体図と周辺の立体地形図を重ね合わせ、それに断層や水流などの各種データを重ね合わせたものです。
あぶくま洞立体図は、平面図と縦断面図から洞穴の横断面の数値データ(座標データ)を数メートル間隔で作成し、その膨大なデータを鉱山用の3D-GISソフトに入力することにより作成されています。
「あぶくま洞3D-GIS」で表示される画像は、半透明の立体地形図内にあぶくま洞立体図が埋め込まれ、地表の地形と洞穴の位置関係が、どの方向からでも一目瞭然でわかるようになっています。真上から見るだけのものなら平面図でも可能なことですが、「あぶくま洞3D-GIS」のように真横から見たもの、真下から見たもの、斜め上方から見たものなど、どの方向か
らでも見ることが可能なのは3次元地理情報システムならではです。
また、この「あぶくま洞3D-GIS」は、あぶくま洞立体図の内側からも見ることができ、さらに視点を移動しながらの動画表示も可能です。つまり、仮想洞穴探勝が可能になるわけです。
さらに地表の地形を非表示して、あぶくま洞立体図だけにしたりと、入力されたあらゆる情報を表示にしたり、あるいは非表示にしたりすることもできます。それが3D-GIS(3次元地理情報システム)の最大の特徴です。
以下の3点の画像は「あぶくま洞3D-GIS」で作成された洞穴立体図のスクリーンショット(静止画)です。
あぶくま洞立体図と立体地形図
あぶくま洞の立体図が半透明の立体地形図内に埋め込まれています。そのため、地表の地形とあぶくま洞との位置関係が一目瞭然でわかります。実際の「あぶくま洞3D-GIS」では、水平方向、垂直方向ともに自由に回転させることができ、どの方向からでも見ることができます。
真下から見た立体図
あぶくま洞の立体図を天地逆さまにして真下から地上に向かって見上げた画像です。平面図的には裏側から見た図面と同じになります。そのため、あぶくま洞の洞内最下層部を流れる地下水系の流路がよく確認できます。
情報の表示・非表示
地形の標高レベルを表すカラー表示を取り去ると、あぶくま洞の高低レベルを表すカラー表示が見やすくなります。実際の「あぶくま洞3D-GIS」は、このように任意の情報を表示したり、あるいは非表示にしたりすることができます。