掲載日: 2025年8月1日更新
市政だより2022年7月号・文化財連載にて、船引町北鹿又地内にある「前田遺跡」を紹介しましたが、令和7(2025)年5月、第3次調査を行いました。
前田遺跡は、昭和42(1967)年の発掘調査によって、環状列石と思われる遺構の一部が発見され、翌年福島県指定史跡となりました。当時発見された環状列石は、日本列島の中で 最も南から検出されたものとして脚光を浴びました。
その後、環状列石がどの程度の規模のものか、前田遺跡の環状列石がどのような性格をもって作られたものか、また前田遺跡はどのくらいの広がりがあるのかなど様々な疑問点があったことから、平成12(2000)年から16(2004)年まで5年間をかけて第2次調査を行いました。
その結果、地形的な制約からか残念ながら環状列石は半周しか巡っていないことと、これまで縄文時代後期のお墓と目されていた(環状)列石の下部から出土した骨を鑑定した結果、イノシシやニホンジカであり、当時の縄文人が食料としていた動物を神から与えられたものとして、感謝を込めて、その骨を祀り、祈った場所としての列石であることがわかりました。
さらに、列石のまわりには相当数の竪穴住居跡があったことから前田遺跡は当時、この地方の中心をなすような遺跡であったことも判明しました。
福島県指定史跡となっている環状列石エリアの外側の住居跡群からも、まつりごとにしか使わない変わった土器や生活に使用された土器が大量に見つかっていることから、より詳しく調査するため、令和7(2025)年5月から第3次調査を行いました。
その結果、13平方メートル四方の発掘エリアから縄文時代中期半ばから末(今から4000~4500年ほど前)の竪穴住居跡が重なり合って13軒も発見され、しかもその中には壊された後に新たに建てられたことがはっきりとわかる住居の存在もあり、当時の生活様式の一端をつかむことができました。
また出土した土器もおよそ26,000点あり、今回の発掘成果から比較的大きな面積の部分を市指定史跡にすべく、今後整理を進めていく予定です。
所在 田村市船引町北鹿又字平畑地内
見学 見学自由
文化財 前田遺跡(県指定)
(たむら市政だより令和7年8月号より。内容は当時のもの。)
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