掲載日: 2024年2月1日更新
前回(令和6年1月号掲載)は坂上田村麻呂(以下、田村麻呂)の生誕にまつわる伝説を紹介しました。
今回は市内に残る神社や寺院、地名にまつわる伝説を紹介します。
地名に関する伝説
まず、地名に関する伝説として、田村麻呂が敵を見るために登った鞍掛山(田村麻呂の馬に鞍を掛けたことが由来)から矢を放ち、矢が山の肩をそれたことから片曽根山(船引)。
(写真:片曽根山)
白鳥に導かれ、大声を出して駆け行ったことに由来する地名・大越と欠入(かけいり)(いずれも大越)。馬を洗ったところに由来する地名・馬洗戸(うまあらいど)(都路)。兵士を休ませたところに由来する地名・休場と五十人山(いずれも都路)。亡くなった兵士を船に乗せ、川を引いてきたことに由来する地名・船引(船引)などがあります。
戦勝祈願
次に、戦勝祈願に関する神社・寺院の伝説として、菅谷神社(滝根)、一石寺(いちこくじ)(現存しない。大越)、天日鷲神社(都路)、山口観音(都路)、東鳥堂(現 東鳥神社・船引)、明石神社(船引)などがあり、これらは苦戦を強いられている時に戦勝を祈願し建立したというものです。
(写真:菅谷神社、天日鷲神社、明石神社)
戦勝御礼
そして、戦勝御礼に関する神社・寺院の伝説として、白鳥神社(大越)、子松神社(常葉)、鹿山神社(常葉)、日鷲神社(常葉)、堂山寺(現 堂山王子神社・船引)などがあり、これらはスサノオノミコトや日本武尊(やまとたけるのみこと)の化身が、清水寺から授かった観音菩薩像の化身が白鳥や鷲などの鳥に姿を変え、田村麻呂軍を導き、戦いに勝てたので、それに対する御礼から建立したというものです。
(写真:白鳥神社、子松神社)
兵馬の供養
また、兵馬の供養に関する神社・寺院の伝説として、亡くなった兵士や馬を供養するため、京都・清水寺の一定法師を迎えて開山したという慈心院(常葉)、船引川(大滝根川)に浮かべて引いてきた棺の一つを永久に保存するために建立したという宝船寺(ほうせんじ)(現存しない。船引)。
このほか、田村麻呂建立伝説がある神社・寺院として、京都・鞍馬寺を模して建立したという入水寺(滝根)、剛叟寺(滝根)、峯霊神社(大越)、三渡神社(常葉)、大聖寺(船引)などがあります。
次回は、田村麻呂軍と戦った大多鬼丸(おおたきまる)など蝦夷(えみし)側を主人公とした伝説にスポットをあてるとともに、歴史上の田村麻呂の生涯を紹介します。
田村市の出版物にも、田村麻呂に関する記述があります。図書館で閲覧可能ですのでぜひご覧ください。(生涯学習課、各公民館でも販売しています。)
「田村市史3 田村市の伝説」、「田村市史6 田村市の寺社仏閣【神社編】」、「田村市史7 田村市の寺社仏閣【寺院仏堂編】」など
(たむら市政だより令和6年2月号より。内容は当時のもの。)
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