掲載日: 2023年2月1日更新
今月号のChallengerは帝京安積高校(以下、帝京安積)で、高校から「和太鼓」に挑戦し始めた三浦大和さん。帝京安積和太鼓部は、昨年2度の全国優勝を果たし、新体制となった今年は「三冠」を目指して一から練習に励んでいます。
個々の技術が必要となるのはもちろんですが、一つの楽曲を完成させるためにチームで納得するまで全身全霊で太鼓に向けてバチを振り、ダイナミックな音を奏でる姿に観衆は思わず息をのみます。
躍進する和太鼓部で、目標達成に向けて挑戦し続ける三浦さんにお話を伺いました。
中学生の時に、帝京安積の学校案内のパンフレットを見て和太鼓部があることを知りました。中学3年間は委員会で応援団に所属していて、太鼓にふれる機会があり、その経験を生かして新しい挑戦をしてみたいと思い進学・入部を決めました。
実際に入部してみると、うまくいかないことも多く、みんなで揃わないと楽曲が完成しないという難しさを実感していますが、チーム一丸となって一つの目標に向かって練習していくのが本当に楽しいですし、それが和太鼓の魅力であると感じています。
【写真】和太鼓部での練習風景
*一打に込める思い 響(おと)にのせて。
和太鼓部の活動は思っていた以上にハードで、今までにない体の使い方をたくさんしています。中学時代にバスケットボール部で筋トレをしていたことが生かされているとも思いますが、これまでに使ったことがない筋肉を使って練習に励んでいます(笑)。
太鼓を始めて自分が変わったと思うところは、メンタル面です。もちろん大変なこともありますが、練習している時など、部員みんなが頑張っている姿を見ると、自分も頑張らなきゃという意識が以前よりも出て、少しは成長できたと感じています。
【写真】和太鼓部での練習風景
*練習中も、お客さんがいることを意識して太鼓を打つ。いろいろ考えるとリズムが入ってこないので(笑)。
和太鼓部では、日ごろから部員同士のコミュニケーションを大事にしています。練習の合間には、部員同士でフィードバックし合ったり、モチベーションが下がらないように会話をしたりするように決めています。
それでも大会前には、緊張や焦りで、うまく演奏できず意見も合わなくなり衝突する時があります。実際に昨年12月の「太鼓祭 日本一決定戦」前にはいつもの良い雰囲気が崩れてしまうことがありました。この時には、前部長・副部長が中心となり、チーム統一の目標を再確認し、練習方法を見直して、一度リセットしてから改めて練習に取り組み、チームの雰囲気を立て直して大会に挑むことができました。
【写真】和太鼓部での練習風景
*常に仲間と合わせることを意識して練習に励む。
*一打一打、その一瞬に全力を注ぐ、すべては三冠のため。
*コミュニケーションがとても大事、一回一回確認を怠らない。
昨年、前部長の髙柴和平先輩が中心となり、オリジナル曲「天響」を制作しました。天響は、静かな海を思わせる前半部から、大きな音を重ねるクライマックスに至る壮大な曲で、今までの帝京安積にはないリズムの曲です。コロナ禍でイベントや大会が少なくなっていて、天まで響くような音を届けて、少しでも元気になってほしいという思いから制作されました。
先輩が作ってくれたベースを元に、自分のパート部分に音を付け加えたり、変更したり意見を出し合って作り上げていきました。変更を重ね少し難易度が上がっていくのを感じましたが、天響で挑んだ大会で好成績を収めることができたので最高だと感じています。
【写真】大会での様子
(写真提供:帝京安積 和太鼓部)
先輩方が惜しくも三冠(全国七人制和太鼓選手権大会、全国高校生太鼓甲子園、太鼓祭日本一決定戦)を逃したので、和太鼓部としては三冠を取るのが目標。そのために、先輩たちの思いを引き継ぎ、副部長として部長のフォローをしながら、目標達成に向けてみんなを引っ張っていきたいです。
太鼓では、3人の男子同級生の中で一番下手かもしれない…と思っているので、納得した演奏ができるように引き続き努力していきます。
初めて何かに挑戦することは怖いと思いますが、スタートしてみると怖さの中に楽しさが絶対にあると思うので、何かやってみたいとことがあればぜひ挑戦してみてほしい。私も中学までやっていたバスケットボールも楽しかったですし、またやりたいと思うこともありますが、和太鼓が本当に楽しく満足して活動できているので挑戦してよかったと思っています。
帝京安積高等学校 和太鼓部 顧問 坂本 雄一 先生
これまでは先輩方がいるのでうまく自分を出せていなかった部分もあると思います。来年度の目標である、三冠を達成するためには、新体制の2年生を中心とした部員の創造力や表現力が必要になってきます。言われたことをやるのはもちろんのこと、そこからの広がりをもっと出して、さらなる活躍を期待しています。
帝京安積高等学校 和太鼓部 顧問 鈴木 柚香 先生(和太鼓部OG)
一言で言うと「真面目」な生徒です。1月に新体制になり副部長を任されていますが、言われたことを一心にやる姿や真っ直ぐに太鼓に打ち込む姿からもその性格が生きていると思います。演奏も今の時点でも大きな音が出ていますが、曲の中で重要なポジションなので、さらに中心となってみんなを引っ張ってほしいです。
和太鼓部 3年 髙柴 和平 さん(前部長)
副部長として優しく丁寧に後輩に接することができ「大和についていこう」と思われる存在になったと感じます。「天響」の制作中には、自分からしっかりと意見を言ってくれてすごくうれしかった。
日本一になり、いろいろな方からの注目がありますが、誰から見られても、人の心を揺るがすことができる部・人になってほしいです。
和太鼓部 3年 古河 琉斗 さん
大和は真面目で、誰に対しても優しい人。そして、悔しいときは悔しがり、言いたいことがあればちゃんと言う、自分の思いを真剣に伝えてくれるから、みんなからの信頼があるのだと思います。
これまで共に味わった悔しさや喜び・自信を糧に、部を引っ張りながら、大和自身にとっても最高の思い出になる1年にしてほしい。
(たむら市政だより2023年2月号より。内容は当時のもの。)
今回のオフショットは、顧問の坂本先生のご指導の下、カッコよく撮影された集合写真。田村市出身ということで中央に配置された大和君は少し恥ずかしそうですが、みんなから愛されているのがよく分かる写真になりました。
放課後の校舎に響き渡る太鼓の音。取材させていただいた日に聞いたその存在感ある音に、自分でも目が丸くなるのが分かったほどでしたが、楽しそうに全身をしなやかに使いながら太鼓を敲く彼らの姿にすぐに自分の口角が上がったのを忘れられません。2000(平成12)年創部の帝京安積和太鼓部。先生方の生徒を想う気持ちから始まり、歴代の部員達が逞しく成長し、部を強くし、伝統を引き継ぎ、進化してきました。これからも新しい世界を見せてくれるに違いありません。ガンバレ大和君&帝京安積和太鼓部!
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【Challenger】田村市出身、高校生アスリートインタビュー
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