掲載日: 2022年9月1日更新
記念すべき連載10回目となる今回のChallengerは箭内洸斗さん。
走幅跳で小学6年時、全国小学生陸上競技交流大会で自己新記録5m38で優勝、中学3年時、第66回全日本中学校通信陸上競技福島大会で大会新記録・県中学新記録7m21を樹立、JOCジュニアオリンピックカップ全国中学生陸上競技大会2020で2位、現在も全国屈指の強豪である日大東北高校陸上競技部に所属、言わずと知れた田村市を代表するアスリートです。
「楽しさ」だけが人生ではない。辛さや試練、挫折を乗り越えて、人はさらに強く、美しく、深みが増していくと思います。
今よりもそしてこれまでの自分よりも、もっと遠くに「跳ぶ」ために新しいスタートを切った洸斗さんに話を伺いました。
もともと体を動かすことが好きで、小学校の時に特設陸上部に入りました。どの競技にしようか迷っていた時、先生の勧めで走幅跳を始めることに。
小・中学校の時は、純粋に競技に励んでいて、記録が出ても出なくても、「楽しい」と思える時期でした。すごい記録を出しても、単に「跳べた」という感覚で、自分ではあまり実感がなく、周りの方々に褒められてやっと実感がわいてくる感じで。正直、今ほど熱心に陸上に取り組んでいなかったのだと思います。
【写真】日大東北高校での練習風景
高校に入ってからは、順調とはいえない競技人生を歩んできていて…。入学早々に足を痛め、約2カ月間練習ができず、自分は止まっているけど、みんなはどんどん上に進んでいる状況で。また、曲山純平※(以下、純平)には中学の時は勝てていましたが、高校に入ってからまだちゃんと勝った経験がない。そういう時にどうしても気分が落ちたり、メンタルが保てなくなったりすることもあった。
その時、この状況から自分をどうするかが重要になってくる。少しでもできることを積み上げて、2、3カ月後の近い将来、自分がどうなりたいか、どのぐらいの記録を出したいのかなど前向きに考えて、自分に言い聞かせてやってきました。
陸上をやめたいと思ったことは、ないと言うとうそになりますが、息詰まったり悩んだときは、一度初心に戻って中学時の走幅跳の動画を見て、こういう時期もあったなと振り返ったり、考えすぎないようにしたりしていました。競技できない期間を経験したからこそ、今につなげられたこともあったので、良かったと思っています。
【写真】曲山純平さん(※日大東北高校2年。令和4年度全国高校総体 走幅跳で8位入賞。)
同じ目標を掲げる仲間が周りにいることは刺激になるし、お互いに切磋琢磨して練習できるのはとてもいい環境。ケガをしていた時期は、主に純平のサポートをしていて、自分ができる限りのサポートをすることを大事に、精一杯頑張っていました。純平をはじめ、周りのライバルが上に行くことは焦ったけれど、仲間でもある。仲間が記録を上げることは本当にうれしいこと。目標を成し遂げた時に一緒に喜んでくれる仲間の大切さも学ぶことができました。純平は、時に一緒に楽しめる仲であり、ライバルであり。競技に欠かせない人物です。
【写真】日大東北高校での練習の合間、仲間と談笑中
ケガを乗り越え迎えた1年冬、走り込み中心の毎日が辛い練習。冬季どれだけ練習できたかで、次の夏につながりますが、本当に一番辛い時期でした。練習後は毎日良かった点・悪かった点を振り返り、次の練習ではそれを改善しての繰り返し。その甲斐もあって、今年のインターハイで東北大会まで4継(4×100メートルリレー)のメンバーに入れたことは自分にとって大きいことでした。
高校での目標は、やっぱりもう一度「走幅跳」で頂点に立ちたい。この気持ちが第一。あとは、3年間振り返った時に、やり切ったと胸を張って言える時間にしたい。もうすぐ3年生、進路を本格的に考える時期。それを踏まえると、2年冬が一番大事な時期。悔いが残らないように、一つ一つ質の高い練習をしたい。自分との闘い。
【写真】大会での様子
(写真提供:箭内さん)
どの競技でも、続けていくうえで、自分がその競技を「好き」という気持ちを忘れずに取り組むことが一番大事なことだと思う。
競技が楽しいと思えなくなるとモチベーションも下がり、記録も伸びなくなる。僕も辛かった時は、この気持ちを忘れないように取り組んできました。
【写真】日大東北高校での練習風景
日本大学東北高等学校 陸上競技部 顧問 高橋 直之 先生
これまでの実績からも分かるように、すごく才能が高い、天才系の選手であるが、厳しいことを言うと、小中学校時は、才能に任せて跳んでいたので、緻密に自分をコントロールして跳ぶ曲山には、今のところ負けている状況。
しかし、7月の県選手権大会(走幅跳)で久しぶりに7メートル16を跳んだところは、自分の力が合うところだけを本能的に探り、豪快に、跳びだけに懸ける、彼の個性を生かしたコーチング方法に変えたこともあり、秋シーズンに向けて良い展望が見えた記録に。
今後期待することは、曲山と全国で1番、2番をとってほしい。「あいつに負けたらしょうがない」と思えているところがお互いにあると思う。タイプが違う2人の今後に期待しています。
(たむら市政だより2022年9月号より。内容は当時のもの。)
洸斗君をはじめ、全国で活躍する優秀な選手がたくさん在籍している日大東北高校ですが、休憩中はみんな仲良く和気あいあいと過ごす雰囲気にチームとしても「真の強さ」が垣間見えました。
これまでの競技人生を振り返ってくれた洸斗君、「強い者が勝つ世界」と潔く伝えることができる姿はとても逞しく感じました。
仲間同士、切磋琢磨しながら目標達成に向けて大きくジャンプしてほしい!
そんな洸斗君、カメラを向けられ「笑うのが苦手~!」と顔マッサージして撮影に挑んでくれました。素敵な笑顔ありがとう!
ちなみに、写真のポーズは日本(NIHON)大学東北高等学校の頭文字「N」です。
▶バックナンバーはこちら
【Challenger】田村市出身、高校生アスリートインタビュー
このページに関するお問い合わせ
生涯学習課 スポーツ振興係
〒963-4393 福島県田村市船引町船引字畑添76番地2 電話番号:0247-81-1215 FAX番号:0247-81-1228